2015/10/16

ボタンが取れても安心設計。ドール用 ボタンブーツ のボタン付け。隠れたひと手間教えます。

人形作家様のご依頼で、ボタンブーツを作っています。
11月に個展があり、そこで展示される人形が履くブーツだそう。
自分の個展の時よりも、遥かに緊張して制作しています(汗)

さて、ボタンを開閉して着用するのがボタンブーツ。
小さいけどボタンはダミーではなく実用として機能します。

なので今回は、後々のメンテナンスまで考えた、やや変則的な方法でボタンを付けることにしました。

ボタンは直接縫い付けられるのが一般的だと思いますが、今回はボタンを取り付けるための準備として、先にループを作りました。
ループの糸は、後のボタン付けの糸と見分けがつきやすいように、敢えて色を変えています。

後に裏地が付くので完成品からは見えませんが、ループが付く革の裏側には補強テープが貼ってあります。
通常のボタン付けでは、ボタンは裏地と共に縫い付けますが、縫い糸とはいえ靴の内側(足に直接当たる箇所)へはできるだけ凸凹を作りたくないので、今回は裏地を一緒に縫いません。
しかしその結果、表地だけに頼ることにもなるので、そこを補強テープで補います。

作ったループへボタンを縫い付けました。
ボタン付けはこれで完成です。

今回のボタン付けは、ループを先に作り、そこへボタンを縫い付ける。
そんな二段構えの方法を採りました。

何故そうしたのかといえば、仮に通常の直付けを採用した場合、ボタンを付ける際の針は、靴の外から内へ入れることはできても、内から外へ出すことは難しく、場所によってはほぼ不可能になります。小さいので、そもそも手も針も入らないことさえあるでしょう。

なので、靴の外側だけでボタン付けの工程を完結させる方法を考えてみました。
手間はひとつ増えますが、万一ボタンが取れた場合でも、これで付け替えが容易になります。

やってることは大したことではないので、終わってみれば、な~んだという程度のことです。
だけども、やってあるのとないのとでは、メンテナンス性が大きく異なることは、想像に易いと思います。
ボタンが取れてしまった時に、後で慌てても遅いのです。Σ( ̄ロ ̄lll) 

靴を作るにあたっては、目の前の形だけを一生懸命作るのではなく、先を見越したこうした配慮を採り入れておくことも、更なる高みを目指すならば、また大事なんだと思っています。

先を見越せるかどうかは、経験の蓄積があるかないか。
かつての失敗は、こんなところで生きてきます。
見えない品質向上の為に、もっと、もっと経験を積んでいきたいところです。

本日コレにておしまい。
お付き合いありがとうございました。

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