2012/12/19

手縫いモカ。目面を綺麗に仕上げる工夫。

SD17サイズでメンズローファーを作っています。
ローファーと聞くと学生靴の印象が(筆者には)強いのですが、今回は少し大人っぽく仕上げたいと思っています。なのでローファーにも色々と種類はありますが、中でも品の良い、つまみモカというスタイルを採用しました。
余談ですが、つまみモカは革をつまむようにして縫うことに由来していますが、革をすくうようでもあるために、すくいモカと呼ばれる事もあります。

ちなみにモカというのは、甲部のU字の意匠部分のことで、別名プラグと言ったりもします。モカはその縫い合わせ方法によって見栄えも変り、上モカ、下モカ、拝みモカなど、何種類かに分けられます。

今回のつまみモカは手で縫います。
手縫いというのは、針に糸をつけてザクザクと縫い進めるだけ、という楽チンな作業ではありません。
勿論それでも形にはなりますが、やはり綺麗に仕上げるためには、それなりに工夫と準備が必要です。

ミシンと異なり手縫いの場合は、あらかじめ縫い穴を空けてから、そこへ糸を通して縫い進めます。
縫い目を綺麗に仕上げる工夫は、縫い穴をできるだけ小さくすること。
小さい穴に太い糸が入ることにより、穴ごとに糸が締め付けられ、その結果として縫い目がひと目づつふっくらとします。そしてその連続が綺麗な縫い目となります。

ところが一方で、せっかく小さく穴を空けても、糸があまりに太いと縫うたびに糸が穴を押し広げてしまいます。すると穴は大きくなってしまい、糸の締め付けも弱くなり、結果的に目面も悪くなります。
なので縫い糸は、穴にできるだけ負担のかからない太さが理想で、したがって、そうなるように準備します。
通常のまま針に糸を通すと、針穴の付近では糸が二重になるので、そこだけ糸2本分の太さになってしまいます。

前述の通り、そのままでは縫う度に穴を押し広げてしまうので、針穴付近の糸が太くならないように、針穴にかかる部分だけ糸を細く加工します。

こうすることで、縫い穴にダメージを与えることなく、縫い目も綺麗に揃うようになるんですね。o(>▽<)o

たしかに手間はかかりますが、手縫い場合は必須だと思っています!

つづく。

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